治療について
児童心理治療施設の治療とは
“治療”というと、その原因をつきとめて(検査)、治療的行為(手術や投薬)を行い、完治(病気を無くす)するという感覚をイメージするかと思います。
人の発達や対人関係における傷の記憶は消すことはできないし、発達障害のような、発達の特性であれば、機能自体を変えることは難しいと考えます。つまり、“傷を完全に無くす”ことや、“機能自体を変える”ことを目標にはできないのです。
そのため、心理治療の考え方は『新しい生活環境・大人との生活を通じて、今までとは違う関わりや解決方法を体感するこで、“考え方”“捉え方”が変わる事で“行動”が変わり、今までよりも生きやすくなることを目指すことになります。
心に深い傷を負うと、日常生活において常に 不安を抱え、安定した日々をおくることが難しくなることがあります。
施設での日常生活のなかで少しずつ安全を確認し、自分の中のトラウマに気づいていきます。
自分はどんな時に不安になり易いか、その不安な時に、どんな不適切な行動パターンをとってしまうかに気づいていきます。
不安な時に、大人の関りで安心を感じ落ち着いたり、適切な方法でやり過ごせることを学び、苦しさをまろやかにします。
発達特性があり、家庭や学校で適応できず、不適切な行動をとってしまうことがあります。
施設での生活を通して、他者とのやりとりを基に自分と人との違いに気づき、自分の特徴を知る機会を作っていきます。
どんな時に、どんな行動をとりやすいかを学び、他者と適切なやりとりをするトレーニングを行います。
自分の特性に合わせた、新しい行動を習得していくことで、生きづらさをまろやかにします。
治療は子どもだけに限りません。
子ども達が戻っていく家庭や学校などの調整も必要になります。
子どもの暴れることで、大人が怖さを感じるようになっていれば、大人が安心を感じることができるようにトレーニングをします。
子どもの考え方や行動を上手く理解することができず、子どもとの関係がぎくしゃくしていれば、子どもの特徴を学ぶ機会をつくり、どのように関われば良いかを一緒に練習していきます。